漢方コラム
花粉症と春
花粉症の方にはツライ季節になりました。
特に鼻水でお困りのご相談を多くいただきます。
鼻水が水っぽい方、後鼻漏になる方、気がついたら鼻の下に溜まっていたという方……。
アレルギーといってしまえばそれまでですが、
春はそういった症状が起きやすい気候と身体の関係とみることもできます。
それは、春は陽気が上がってくるのにまだ寒い日も多くあるからです。
冬は閉蔵
漢方では、冬は「閉蔵」といい、万物が冬ごもりして大切なエネルギーを外に漏らさないようにする状態を表しています。そのとき人は体表を閉じて身体を衛るようにしています。
春は発陳
春は「発陳」といい、万物が芽吹き、活動を始める様子が表現されています。
人はそれまで閉じて陽気(エネルギー)を衛るようにしていましたが、体表、皮膚(腠理)を徐々に開け始めます。
冬から春へ
この冬から春にかけて、体表の開け閉めがスムーズにできればよいのですが、衛りが固すぎたり、開け閉めがうまくできず閉じたままの状態になることがあります。
それでも太陽は徐々に高くなってきて春の気となり、外の陽気は上がり、身体の中も気が上がりやすくなります。
体表が閉じていて、気が上にあがると、身体の中の水気(体液)なども上部に上がりやすくなります。
その上がった水気(体液)は、本来は呼吸だけでなく体表からも発散されていますが、皮膚も寒さで閉じたままのために発散できなくなっていると、上部の出やすいところ、穴が開いている鼻から鼻水として漏れ出てくる、と考えられます。
肺で作られた温かい陽気は、鼻からの呼吸や皮膚での呼吸により全身に巡らされます。また外の中の陰陽の交換もされています。
身体のどこかに熱のこもりがあると鼻水が固まって鼻づまりになることもあります。
漢方で治療するとき
治療においては
どこかに熱のこもりがあるのか、冷えはどこにあるのか、どの程度なのかを勘案して
体表の冷えを温めて皮膚呼吸をさせたり
肺を温めて呼吸を促進したり
呼気から余分な水分を出したり
気を巡らすことで組織の動きを活発にしたり……
体表の衛りが強すぎる人にはガッと肺や体表を温めて余分な水気をだすことをします。
一方、強い作用を体に加えると身体が保てない方には、潤しながら温める優しい方剤が必要です。
また、気分が巡らない方には、気を巡らすことで水を動かす必要もでてきます。
わんちゃんと似てる?
ある患者さまは、お鼻の下に水が少し、自然と溜まっていて拭き取ったりしているとのこと。
思わず、わんちゃん(犬)を思い出しました。わんちゃんは皮膚呼吸しにくいのでお鼻に水がしたたりそうに溜まっていることがありますね…。
そのような彼女ですが、筋トレも兼ねた呼吸法(みぞおちをしめながら行う)をお勧めしましたら、仕事中に思い出して実践してくださっているとのこと。
漢方薬と呼吸法で、お身体が良い方向に動き始めています。
ご自身のお身体がどのような理由でそのような症状になっているのか、ご理解いただけると治療も進む印象があります。
この方には、温めて気分を動かす方剤が効果的だと感じています。
使う方剤は、患者さまの状態によって異なります。
是非ご相談ください。