漢方コラム
一陽来復
冬の養生
暦の上では冬は立冬~立春までの約3か月をさします。
冬は寒さから身を守るために生命力を身体の奥に蓄える季節になります。動物は冬眠し、植物は花も実も葉もなく根に栄養物を貯蔵させる時期なので、発散しないようにすることが養生につながります。
そのため、夜は早く寝て朝は日が昇ったら起きて活動的になり過ぎない事、陽気や血のめぐりをよくしすぎると反動で不足し冷えてしまうのでお酒の飲み過ぎにも気をつけましょう。
また過剰な暖房や厚着、激しい運動やサウナなどで陽気の発散を多くしすぎないことが大切です。
冬は腎と関係の深い季節です。腎は、腎臓の働きだけではなく、ホルモンバランスや老化、免疫にも関わりがあります。腎のつぼがある足首や腰回りを冷やさないようにしていきましょう。
また、黒い食材が腎を助けます。腎の働きに不安のある方は昆布・ひじき・黒豆・黒ゴマなどを積極的に食べていきましょう。
冬至
今年の冬至は12月21日です。一年で最も昼の短い日です。陰陽説では昼は陽、夜は陰に属します。冬至は最も陰気の強い日になり、太陽の力が一番弱まる日ですが、この日を境に陽気が長くなっていくことになります。陰が極まり再び陽にかえるという意味の「一陽来復(いちようらいふく)」といわれます。冬至を境に運が向いてくると考えられ、古くから多くの国で冬至の祝祭が行われていたそうです。
日本には多くの伝統的なお祝い事がありますが、その中でもお正月は特別な行事ですね。
お屠蘇
今回はお正月の風習の一つであるお屠蘇のご紹介です。
お正月に1年間の邪気を払い、長寿延命や無病息災を願って飲まれるお屠蘇。
もともとは中国で起こった習慣ですが、平安時代に中国から日本に伝わり、高官から民衆へと次第に浸透して風習化したようです。
屠蘇という名前の由来は諸説あります。「蘇」という名の悪鬼を屠(ほふ)るという説、邪気を払い(屠る)、魂を蘇らせるという説などなど。
屠蘇散には、桔梗、防風、山椒、蒼朮などの生薬が使われています。これらは香気生薬や健胃作用をもつ生薬で、香気で邪気を払い、脾胃に作用して食欲を増し、気を巡らします。
地域や家庭などにより違いはありますが、お屠蘇は大晦日の晩に準備します。昔は屠蘇散が入った袋(三角形に縫った赤い絹の袋)を井戸の内側に吊るしておき、一晩吊り下げられた屠蘇散は、元旦の早朝に取り出して、酒もしくはみりんに浸していたそうです。
元旦の朝、身を浄め、家族全員そろって新年の挨拶をしたあと年少の者から年長の者へ飲みまわすのが一般的とされています。
当店でもこの時期だけ「若草屠蘇散」を販売しています。
私も若草屠蘇散を飲んで新年を迎えたいと思います。
皆様もどうぞ良いお年をお迎えください。