漢方コラム
漢方薬の3つの剤形~丸剤の製剤実習のご案内~
漢方薬の名称には、
① 葛根湯(かっこんとう)、小青竜湯(しょうせいりゅうとう)など、〇〇湯
② 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、当帰散(とうきさん)、五苓散(ごれいさん)など、△△散
③ 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、八味地黄丸(はちみじおうがん)など、◇◇丸
があります。
それらは本来のの形状を表しています。具体的には、
① ◯◯湯は、生薬を煮出したもの……煎じ薬(せんじぐすり)、湯液(とうえき)
② △△散は、生薬を粉末にしたもの……散剤(さんざい)
③ ◇◇丸は、生薬を粉にして蜂蜜などで練って丸めたもの……丸剤(がんざい)
と呼ばれます。
加工品との違い
では、病院やドラッグストアにも多く流通するエキス顆粒やエキス錠は何でしょうか。
エキス剤は、◯◯湯、△△散、◇◇丸という本来の形状に関わらず、同じ構成生薬を所定の比率で混合して煮だした液体をスプレードライ(噴霧乾燥)して製造されています。
つまり、顆粒や錠剤は、簡便に服用できるように加工された製品です。
本格的な煎じ薬と、そのように加工されたエキス剤の違いについては、よくドリップコーヒーとインスタントコーヒーに譬えられます。煎じ薬がドリップコーヒーだとすると、エキス顆粒はインスタントコーヒー。
それらは味も香りも異なります。
エキス剤で服用するよりも湯液で服用する方が効き目がハッキリわかると考えられます。
丸剤づくり
湯液には湯液の、散剤には散剤の、丸剤には丸剤である理由があります。
当店では、患者さまのお体調に応じて漢方薬をお選びし、煎じ薬、散剤、丸剤、或いはエキス剤をご用意します。
これらの剤形の中で最も手間がかかるのが丸剤です。
当店では、丸剤は、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)と八味地黄丸(はちみじおうがん)(腎氣丸(じんきがん)とも呼ばれる)を製造しています。
桂枝茯苓丸は5種類の生薬、八味地黄丸は8種類の生薬からなります。それらの構成生薬をミルで粉末にして篩い、蜂蜜で混合して練り、製丸機で切り分け丸にします。
ここで、例えば、桂枝茯苓丸なら桂枝茯苓丸料、八味地黄丸なら八味地黄丸料として(煎じ薬として)服用していただく方が(本来「丸」や「散」なのに、「煎じ薬」とする場合は名称の最後に「料(りょう)」とつけて区別されています)手間がかかりません。
手間はかかっても「◇◇丸」と「丸」の名のつくものは丸剤で服用していただいた方が良いので、当店では使用頻度の高い桂枝茯苓丸と八味地黄丸は自家製剤として製造しています。
製剤実習のご案内
とはいえ、当店でも製造していない丸剤があります。
乾姜人参半夏丸(かんきょうにんじんはんげがん)です。
乾姜人参半夏丸は、吐き気、胃炎、つわりなどに用いられます。
ここで実習のご紹介です!
今度、この「乾姜人参半夏丸」の製造実習が開催されます(私が所属している方術信和会(ほうじゅつしんわかい)主催)。
そして、今回は、一般の方もご参加いただける枠が設けられました。私(吉田)もお手伝いで参加しておりますので、当店ご利用の方もご参加いただけます。
参加費がかかりますが、貴重な経験となると思います。よかったら参加してみませんか?
ショウガを用いた漢方薬ですので、身近に感じられると思います。また、実習をしてみると漢方について、また古代から伝わる伝統医学、自然や先人の英知に想いを馳せることができるかもしれません。きっと新たな気づきがあると思います。あるいは何も考えずに単に作る作業としても面白いかも知れません。
ショウキョウ(生姜)
講師の八木先生も、企画された飯田先生もご経験が豊富ですので、お話も面白いと思います。
当店では、この乾姜人参半夏丸は、煎じ液でご利用いただいてきましたが、今回この製剤実習を企画された飯田先生とお話していて丸剤を(自家製剤か既製品でも)ご用意した方がよいなと感じました。
開催要項
日時: 2024年11月10日(日)10:00~15:00 (昼食は各自ご用意ください)
場所: 〒160-0004 東京都新宿区四谷1-17 MEISTER YOTSUYA 104
レンタルキッチンスペースPatia(パティア)四谷
実習内容: 乾姜人参半夏丸
講師:八木多佳子先生 日本薬剤師会 薬局製剤 漢方委員(方術信和会会員)
参加費:
¥10000 会員外ビジター(信和会会員、受講生の紹介者)5名まで
参加締め切り:10月31日木曜日
今回は、当店をご利用履歴のある方へのご案内です(面識のない方はご紹介できません)。また、定員に達しましたら受付終了となります。ご了承ください。
漢方にご興味があり、何かを作るのがお好きな方にはお薦めの企画かと思います。
是非一緒に参加してみませんか~‼✨
ご希望の方は、店頭、お電話、メールにてご連絡ください。宜しくよろしくお願いいたします.