漢方コラム
桂枝湯の仲間の処方 その2
先月、私の気逆によ嘔吐に「桂枝湯(けいしとう)」が奏功したこと、
「桂枝湯」が漢方薬の基本の処方であることをご紹介しました。
「夏場の冷えのぼせの一例」
https://www.wakakusa-kanpou.com/archives/4894
そして、桂枝湯には、そこから派生している漢方薬がいくつもあり、前回はその仲間を3つ
桂枝加黄耆湯(けいしかおうぎとう)、桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)、桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)をご紹介しました。
https://www.wakakusa-kanpou.com/archives/4981
今回は、小建中湯(しょうけんちゅうとう)をご紹介します。
小建中湯の構成生薬
小建中湯は、
桂枝湯の構成生薬(桂枝、芍薬、甘草、大棗、生姜)に
膠飴(こうい)が加わったものです。
桂枝湯にというより、桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)に膠飴を加えたニュアンスです。桂枝加芍薬湯については前回ご紹介しましたね。
では、膠飴(こうい)とは何でしょうか。
膠飴(こうい)とは、簡単にいえば、米を麦芽で糖化させたアメです。
〇〇建中湯、例えば、大建中湯(だいけんちゅうとう)、黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)にも膠飴が入っています。
原料として、米以外のデンプン質のものも使われるようですが、米から作られたものが良品です。
膠飴には、急迫症状を緩和し、力を与える働きがあります。
小建中湯の目標
小建中湯は、お子さんの体質改善によく使われます。
膠飴が甘くて、力をつけてくれるから、お子さんにも飲みやすいです。
また、古典の「血痺虚労(けっぴきょろう)病」という箇所に記載があるように
大人でも疲れてしまっている人にも使います。
お腹が急に痛んで、引っ張られるような時、手足の裏がほてったり、鼻血がでたり、動悸がしたり、お小水の回数が多いような方にも使います。
膠飴の意義
先日、〇〇建中湯を服用しているお客様に聞かれました。
「膠飴は甘いでしょ。甘いものであれば別に膠飴じゃなくても甘い食べ物でもいいの?」と。
いえいえ、膠飴というものに意味があるのです。
「米」がベースになっていることが大切。
お米は力をつけてくれます。
「じゃあ、お米を食べればいいじゃない? なんでアメなの?」
なるほど。
漢方では、その形状にも意味があると考えます。
お米(ごはん)を食べて力にできる人はお米(ごはん)を食べればいい。
けれど、ごはんを食べて消化して身体に巡らすのにもエネルギーが要ります。
膠飴(こうい)は、お米のエネルギーを持ちつつもアメという身体に吸収されやすい形状であることに意味があります。
膠飴が入っている処方が必要な方は、それだけお身体が虚しているのです。
さいごに
今回は、前回にひきつづき、桂枝湯から派生させて考えられる処方のお仲間、小建中湯をご紹介しました。
小建中湯は、桂枝湯や桂枝加芍薬湯とは違った効能・効果があり、違う方向性をもっていることが少しでも伝わりましたでしょうか……。
最後までお読みいただきましてありがとうございました!