漢方コラム
熱のこもりに~ウリ科果実~
毎日暑いです。
オリンピックも熱戦が続いています。
私は柔道を毎日よく見てきましたが、終わってしまいます。
この後は陸上競技かしら。
ところで、先ほど、「オリンピックの顔と顔~♪」と歌ってみたら、
11歳年下のスタッフ猪口に
「知らないです……」
と言われてしまいました。
「えー知らない? まじ?」
なんて言いながら、三波春夫さんの動画を探して見せましたが
やはり
「知りません」
ですって💦
仕方ありません。
ま、私も全部が歌えるわけではありません。生まれていませんでしたからね一応💦
さ、気持ちを入れ替えて参ります。
夏の食材
夏は、京都鴨川の川床で涼みながら京料理なんていうのも風流だなぁ、などと想像しておりますが、この酷暑だと、どうなのでしょうね。
昨日、近所の食品売り場では、期間限定販売の京料理屋さんが「はも」の湯引きのお寿司を販売されていました。
はもの湯引きに冬瓜の炊き合わせなんていうのも涼しそう、と想像が膨らみます。
そこで、今回は夏の暑さで体にこもった熱を冷ます瓜(ウリ)について記載してみようと思います。
瓜のいろいろ
瓜にもいろいろあります。
冬瓜、西瓜、苦瓜、胡瓜、糸瓜、真桑瓜
これらの読み方、お分かりですか?
答え
冬瓜 とうがん
西瓜 すいか
苦瓜 にがうり
胡瓜 きゅうり
糸瓜 へちま
真桑瓜 まくわうり
以下、漢方で用いるウリ科の植物について、少しばかりご紹介したいと思います。
冬瓜の種子 冬瓜子(とうがし)
トウガン 2022.10.04 東京都薬用植物園にて
トウガンの種子は、生薬となり、冬瓜子(とうがし)といいます。
あまり頻用される生薬ではなく、古方では「大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)」に配合されています。
その大黄牡丹皮湯は、お腹の中に熱がある腫れ、しこり等に用いられ、盲腸炎にも用いられます。
冬瓜子は、肺廱(はいよう)、腸廱(ちょうよう)などに用いられる生薬です。
キカラスウリの根
漢方生薬としてよく使われるウリ科植物に、キカラスウリがあります。
キカラスウリは山野に自生のつる性の多年草です。
キカラスウリ 2013.6.2 神戸薬科大学にて
キカラスウリの根は、生薬の栝楼根(カロコン)になります。
括楼根の味は苦く、渇を止め、熱を消し、小便を利す働きがあります。
栝楼根(かろこん)は、「柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)」に配合されています。
柴胡桂枝乾姜湯は、胸脇部の違和感、頭汗、往来感熱、精神不安があるときに用います。更年期、自律神経の失調、不眠などにも応用されます。
キカラスウリの果実と種
キカラスウリの果実を栝楼実(かろじつ)、種子を栝楼仁(かろにん)といいます。
2022.10.04 キカラスウリ 東京都薬用植物園にて
栝楼実は、血熱(けつねつ)を除き、胸脇部(きょうきょうぶ)の疼痛を去ります。
栝楼実が配合されている「小陥胸湯(しょうかんきょうとう)」は、胸にこもった熱により生じる刺すような痛みによく用いられる処方で、古典に記載されています。
小陥胸湯は小柴胡湯と合わさった処方である「柴陥湯(さいかんとう)」となり、薬局製剤として煎じ薬として処方することができます。
20年ほど前、風邪を引いた後なかなかすっきりせず、胸にチクっとした痛みが走るようになった際に服用したらとてもよく効いたという経験があります。スっとこもった熱を去ってくれた感じがしました。
キカラスウリの根(カロコン)は医薬品ですが、果実のカロジツと種子のカロニンは、「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分」です。
オオカラスウリ
生薬カロコンの基原植物には、キカラスウリ以外にオオカラスウリがあります。
以前、植物園にて、オオカラスウリの花を観察することができました。
微細なレースのような花弁でとても美しかったです。
オオカラスウリ 2022.10.04 東京都薬用植物園にて
さいごに
もうすぐ立秋ですが、まだまだ暑い日が続いています。
冷えが気になる私は、あまりウリ科のお野菜を食べないようにしてきましたが、今年は暑すぎるので、少し冷ます食材も取り入れています。
今日は帰宅時に遠くで花火の音がして、振動が伝わってきました。
まだまだ、暑い、熱い夏はつづきそうです。
ひきつづき熱中症、冷房病に気を付けて参りましょう。
女性のための漢方相談