漢方コラム
熱い夏! ~オミジャチャ?五味子について~
酷暑です。
みなさまいかがお過ごしですか?
私は、夏というとまずは高校野球!
7月上旬は母校の応援。その後は地区大会をチェック。
高校球児たちの一生懸命さに、ついつい気持ちが入ります。
そして8月になると全国大会。
ここ数年、好きな野球解説者さんができて、「推し」というのでしょうか。その方の解説がとても面白くて楽しみにしています。
杉本真吾さん。元米子東高校の監督だったというという方です。
そこで、気づいたこと……
出場校を応援するなら攻撃と守備の合間にトイレに行ったり一休みできるけれど、解説者さんを好きになるとチェンジの時間帯も解説があるので、休み時間がないのでお手洗いに行くタイミングが難しい……💦
ま、たいした話ではありませんね。
それに、家で涼しくして見ている私はよいのですが
これだけの猛暑となると、応援団の方々の熱中症が心配になります。
そういえば、以前、夏バテ防止に「オミジャチャ(五味子茶)」を飲んでいると、韓国ドラマの「チャングムの誓い」に出演されていたイ・ヨンエさんが紹介されていました。
ということで、今回は生薬「五味子(ゴミシ)」について記載してみたいと思います。
五味子 ゴミシ
「五味子茶」で用いられる五味子(ゴミシ)は、マツブサ科のつる性落葉木本チョウセンゴミシの果実です。
チョウセンゴミシ 2016.09.02 北海道薬科大学にて
チョウセンゴミシの果実が赤く熟す頃に採り、乾燥したものが生薬の「五味子」となります。
新鮮なものは紅色ですが、乾燥して貯蔵していると次第に暗黒色になり、有機成分が白っぽく析出します。
↓生薬の五味子(ゴミシ)
五味子という名は、五つの味がする、という意味があるといいます。
五味とは、酸(すっぱい)、苦(にがい)、甘(あまい)、辛(からい)、鹹(しおからい)のこと。
五味子は、皮には甘味、果肉には酸味、種子には辛味と苦味があり、全体に塩味があるということですが、さてどうでしょうか。
一般的には、五味子の味は「酸」です。
韓国では、この五味子を用いた五味子茶(オミジャ茶)が夏バテ防止に飲まれているとのことですが
日本では、五味子は食薬区分としては、「専ら医薬品」の部類になります。お茶としての販売は禁止されています。
五味子の効能
五味子の効能について、神農本草経には、「味酸温(あじさんおん)、気を益し咳逆上気(がいぎゃくじょうき)、労傷羸痩(ろうしょうるいそう)を主どり不足を補い陰を強め男子の精を益すことを主る」とあります。
また、薬徴には、「咳而冒する者を治することを主どる」とあります。
要するに、
五味子は、咳や冒(頭に何かかぶっているような感じ)を治すと考えられます。
頭や脳髄に、水がたまりむくんだ状態を絞る、ともイメージできます。
五味子を含む漢方薬(漢方処方)
五味子が配合されている漢方薬(漢方処方)には
「苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)」や
「苓桂味甘湯(れいけいみかんとう)」があります。
苓桂味甘湯(りょうけいみかんとう)は、配合生薬の名前を一つずつ入れた命名になっています。茯苓、桂皮、五味子、甘草
これは、のぼせ、咳、耳のふさがり感などがある時に使いますが、私は「れいけいみかん」と呼んだりしますので、患者さまも「みかん、ミカン」といって親しんで覚えてくださいます。
五味子ちがい
以前、植物園で「生薬 五味子」という標識の植物としてよく目にしたのは「サネカズラ」でした。
五味子の基原植物はチョウセンゴミシのはずなのに、何故サネカズラ? と混乱していましたが
どうやら、このサネカズラは、「南五味子」という生薬になる植物で、一方チョウセンゴミシは「北五味子」と呼ばれることがあるとのこと。
ちょっと謎が解けた気分です。
サネカズラ 2008.10.7 筑波植物資源研究センター
サネカズラは別名ビナンカズラ。これは、茎と葉に粘液を含み、髪をすいていたのでビナンカズラ(美男蔓)の名前がついたとのことです。
そして、ビナンカズラは万葉集にも詠まれているほど、日本には古くから馴染みがあった植物だったようです。
チョウセンゴミシとサネカズラ、実の付き方が違います。
チョウセンゴミシの方は長く葡萄のようにつき、サネカズラは長く伸びた柄にコロンと丸みを帯びて小球形状に実がついています。
さいごに
今回は「熱い夏!」ということで冒頭、高校野球について触れましたが、
女性のための漢方相
談