漢方コラム
春の過ごし方~気をめぐらす~
3月20日は春分の日です。
春分の節気は昼夜、寒暖を等分していて、ここから暖かい日が増えてきます。
この時期は身体の陰陽のバランスのとれた状態を保つことに目をむけることが養生につながります。
陰陽を調節していく基本は不足があれば補い、余りがあれば泄するということです。気を益す、血を養う、陰を補う、陽を助けるのは虚を補うこと、発汗、熱を下げる、尿をもよおすなどは実を泄するとみなすことができます。
春と「肝」の働き
春と関わりが強いのは五臓でいう「肝」です。
漢方で考えるところの肝は西洋医学でいう肝臓の働きだけではなく、自律神経系や新陳代謝の機能を担い、全身の「気」の流れをコントロールし、精神を安定させたり、内臓の働きをスムーズに保つ役割などもしていて、目や筋肉との関係がある臓器です。
また肝は血を貯蔵し、必要に応じて供給するという血の調整機能もあると考えられています。
肝は春にあたる臓器なので、春の草木のようにのびのびとした状態が好まれます。そのため、ストレスを強くうけると肝の機能が低下し、消化器系の不調や疲労感、イライラ、憂鬱といったさまざまな不調が現れるようになります。
季節の変わり目で生活環境が変わることも多い春はストレスや不安を感じやすい時期なので、肝に負担がかかりやすい季節です。肝の機能を健やかに保つように心がけていきましょう。
春の過ごし方
春の過ごし方で気をつけるポイントは、外邪を防ぎ(風に当り過ぎない、過剰なストレスを受けないようにする)、肝の抑鬱(イライラ、うつうつ)に注意します。
春は怒りの感情が強くなるとされています。怒りのパワーは物事を動かすパワーにもなりますが、強くなりすぎると自分自身も周囲の人も嫌な思いをしてしまうことがあります。
好きな香りでストレスを発散させたり、軽い運動で気血の巡りをよくするなどご自身のストレス発散の習慣を見つけておくといいですね。
漢方では気のめぐりをとても大切に考えています。全身に張り巡らされた経絡(気の通り道)に、目に見えないエネルギーである「気」が通じることによって健康が保たれていると考えます。
そして病は、精神的ストレスや運動不足、冷えなどによって、この「気」が滞ってしまうことから発生すると考えられるのです。
気のめぐりをよくする麝香
気のめぐりをよくする生薬の一つに「麝香(じゃこう)」があります。
麝香は芳香開竅薬に分類され、書物には「身につけたり枕元に置いておくと悪夢や死人のたたりを退ける」と記載されています。
麝香は、その香りによって乱れた気の流れを整えることから、全身の気の流れの「滞り」や「詰まり」によって生じるさまざまな症状に応用されています。
麝香は他に代わるもののない生薬であり、自律神経調節作用、概日リズム調整作用、抗炎症作用、学習能力低下抑制作用、末梢組織血流量増加作用など様々な働きがあります。
「救心感應丸氣」はこの「芳香開竅薬」に分類されている麝香・牛黄・龍脳に「補気薬」人参、「行気薬」沈香、さらに胃腸の働きをよくするウルソデオキシコール酸・動物胆がバランスよく配合されています。
ストレスが続いているとき、不安や緊張でどきどきするとき、旅行先で気分が悪くなりそうなとき、朝起きられないときなどにすぐれた効きめを発揮します。