漢方コラム
今年の運気 その2~土運太過~
今年はどんな一年になるのでしょう。
昔の賢人は、自然の法則を統計的に見出しました。
気象、災害、社会現象、植物の生育、人が受ける影響、病気などが、漢方の古典「素問」の「運気論」と呼ばれる箇所に記載されています。
そこには「五運」と「六気」が巡ること、それらの組み合わせによってさまざまな変化があることが記されています。
「五運」は、矢印のように木運→火運→土運→金運→水運と一年交代で巡り、地を統括していきます。
土運太過の年
今年の干支は、甲辰(きのえたつ)です。
十干の甲(きのえ)は、木の兄。甲(きのえ)の年は土運が太過となります。
「土運太過(どうんたいか)」の年は、土気が厚く盛りあがる、「敦阜(とんぷ)」といいます。
敦阜の年は、天地のはたらきは温厚に静穏に行われ、万物は順調に成長し繁茂し、大地に満ちます。天地の気が山野にこもって、ときに豪雨を降らすことがあり、じめじめと湿った日が多くなります。
湿雨がほしいままに行きわたります。自然界では、夏の土用の化成のはたらきばかりが盛んになりって、冬の蟄蔵のはたらきが不足しますので、植物は実っても、種を結べない状態となります。水があふれるため新しい泉が涌き出て、河川が氾濫し、乾いた沢も水がいっぱいになります。風雨がひどくやってきます。
もし、土気が強い異変をおこしますと、こんどは木気が復を行って大風が突発します。
地の変があると、地震、突風・豪雨で山野が崩れるといったことが生じます。
自然界では水気がおかされ、人体では腎臓が病邪を受けます。
人々は腹が痛み、手足が冷えあがり、気持ちが鬱とうしく、体がだるく、胸苦しい症状をおこしやすくなります。甚だしくなると、肌肉が萎え、足も萎えてぶらぶらとなり、動くと痙攣をおこし、足が痛みます。
飲んだ水のために腹がはってつまり、食欲がなく、手足が不自由になるといった、脾臓が自ら病む状態になります。
病人は、腹がいっぱいになり、どろ水のような下痢をし、腹が鳴ります。
腹がいっぱいつまってはる、手足が萎えて不自由になる、腹満・四肢不挙ということがおこります。(参考文献:「運気 新釈・小曾戸丈夫 たにぐち書店」)
今年の養生
土運太過の年は、脾胃の気が強くなり、腎を剋します。
食べ過ぎ、胃もたれ、胃炎にも注意です。
胃が強くなりすぎることで、腎の力(生命力)が低下することのないように腎を守りたいものです。特に土用の頃は、一層腎が剋されますので予め腎を補うとよいでしょう。
〇過労、運動のし過ぎ、汗のかきすぎなどに気を付けましょう。
〇睡眠時間を確保して、日付の変わる前に、できれば23時には就寝するようにしましょう。
〇腎気を高める食品、黒豆・黒ゴマ・実のもの、根菜類を積極的に摂りましょう。
〇生薬では、腎氣丸、鹿茸製剤(活命参)や亀鹿霊仙廣を、体質や状態によって摂るようにしましょう。
年の後半は、木気が報復しますので、木剋土となります。
天では、風が強く吹き、人は脾臓の働きが損なわれます。食べたいけれど食べられないとか、べちょべちょした粘性便が下りやすくなりますので気を付けましょう。 また、肝が旺盛になりますので、イライラなど精神的な不調も起こりやすくなります。
〇脾胃(消化器系)のトラブルに注意し、冷たい飲み物、火を通していない食べ物、油もの、水分、アルコールの摂りすぎには注意しましょう。
〇腹八分目を意識するようにしましょう。
◯気分転換を積極的にとるようにしましょう。
おわりに
予測されうる注意事項を頭の片隅におきつつ、楽しむところは楽しんで、今を大切に、ご先祖様や周りの方々に感謝しつつ、前向きに過ごしていきましょう!
その他の今年の運気については、店頭でお渡しする「若草漢方薬局だより 2月号」をお楽しみに。