漢方コラム
更年期の体調変化~めまい~
更年期は、様々なトラブルがおこりがちです。
ホットフラッシュ、汗、動悸、息切れ、手足のしびれ、腰痛、イライラ、不安感、焦燥感、やる気が起きない、乾燥感、思いもかけない病気が見つかった……。
当店でも多くの同年代の女性がさまざまなお悩みを訴えられます。
部屋がグルグルまわる
私も、まさにその世代です…。
そんなわたくし、先日ひどいめまいに見舞われました。
朝床から起き上がろうとしたとき、夜横たわろうとしたとき、部屋が大きく回転しました。
これまでも多くのお客様の眩暈のご相談をうかがってきたわけですが
実際に自分の身に起こりまして、それはそれは驚きました!
女性は50代も半ばになってくると、津液(身体を巡らせる大切な水)が不足し、血液も乾きやすくなります。また身体を衛る陽気(エネルギー)も減ってきます。
今回の私のめまいの原因は、汗をかきすぎて体液(津液)を失って、身体を守る温かいエネルギー(陽気)を消耗した、というイメージです。
じっとりと汗をかくことは、ストレス発散にはよいのですが、かきすぎには注意が必要です。
「以前はそんなこと起こらなかったのに…」
更年期の女性だけでなく、体調を崩された方は、時々
「以前はそんなことなかったのに」「若いときはこんなことなかった」
とおっしゃいます。
私もそう思います……。
でも、以前の自分や、ましてや元気な他の人と比べてせんないこと。
ひとは日々少しずつ変化していきます。
そして、更年期はこれまで巡っていたものが巡りにくくなり、潤沢にあったものが減る時期。そして、これまで大丈夫だった刺激で崩れやすかったりします……。
古典の記載から
漢方の聖典の「傷寒論」には、「発汗後……」という記載が多くあります。
また、眩暈について書かれている箇所があります。
發汗過多其人叉手自冒心心下悸欲得按者桂枝甘草湯主之
発汗が多く、動悸がして心臓のあたりを手で覆いたくなる人には桂枝甘草がよい
發汗後其人臍下悸者欲作奔豚茯苓桂枝甘草大棗湯主之
発汗の後、へその下から動悸が突き上げて気がつきあげてくる人は茯苓桂枝甘草大棗湯がよい
傷寒若吐若下後心下逆滿氣上衝胸起則頭眩脉沈緊發汗則動經身爲振振搖者茯苓桂枝白朮甘草湯主之
寒さにやられ吐いたり下したりした後、眩暈がして身体が揺れるような人は茯苓桂枝白朮甘草湯がよい
古典では、そこに記載されているの奥の意味を理解し、一方で、その時の身体の状態を照合してしていくこと、漢方薬の働きと、含まれる生薬の働きを把握して応用していくことが大切。
今回の私の部屋がぐるぐる回るめまいは、陽虚を補い、血を温め、血管を緩め、水の偏在を整える漢方薬で、服用当日に治りました(^^)/
更年期のさまざまな不調のご相談承ります。
【この記事の著者】若草漢方薬局店主 吉田淳子