妊娠を諦めかけていた方が不妊治療と漢方薬の服用で懐妊され、

 

引き続き漢方薬も服用され無事にご出産。　

 

そういったご報告はとても嬉しいです。

 

産後ケアの第一歩

 

産後のケアのために漢方薬をお選びする場合　

 

例えば以下のようなことを伺います：

 

どこかつっぱった感じはしないか　

 

頭に何か被ったようなウツウツとした感じはしないか　

 

大便は硬くないか　

 

お腹の痛みはないか　

 

大汗はかかなかったか　

 

気持ち悪かったり食欲がなかったりしないか　

 

発熱して顔が真っ赤になっていたりはしないか　

 

手足の裏がぼぉ～っと熱くはないか　　

 

出血はしていないか　

 

或いは

 

ただただ体力を補いたい様子なのか……など。

 

金匱要略の婦人病

 

上記のような質問をさせていただくのは、古典に則っているため。　

1800年前に記されたといわれている「金匱要略（きんきようりゃく）」には

ご婦人の病のセクションが３つあります。　

 

婦人妊娠病（ふじんにんしんびょう）

 

婦人産後病　（ふじんさんごびょう）

 

婦人雑病（ふじんざつびょう）

 

妊娠を希望されている方には「婦人妊娠病」から

出産された後の体調管理には「婦人産後病」を

まずは参照し、考察することが多いです。　

 

婦人妊娠病では、なかなか妊娠しない場合の考え方や対処するための漢方薬、

婦人産後病には、出産後に起こりやすいトラブルへの対処や漢方薬が記載されています。

 

婦人産後病脉證治第二十一

 

第一条　

問曰新産婦人有三病一者病痙　二者病鬱冒　三者大便難何謂也　

（意訳：おたずねしますが、ご婦人で出産後に、三つの病があり、一つはひっぱられるような状態の病、二つ目はウツ冒、三つめは大便がし難いとありますが、これはどういうことか）

それに対して、以下のような条文が続きます。

 

師曰新産血虚多汗出喜中風故令病痙亡血復汗寒多故令鬱冒亡津液胃燥故大便難産婦鬱冒其脉微弱嘔不能食大便反堅但頭汗出所以然者血虚而厥厥而必冒冒家欲解必大汗出以血虚下厥孤陽上出故頭汗出所以産婦喜汗出者亡陰血虚陽氣獨盛故當汗出陰陽乃復大便堅嘔不能食小柴胡湯主之方見嘔吐中　

 

ちょっと長いので、意訳は別の機会に譲りますけれど、出産後に起こりやすいことが原理と共に記載されています。

 

産後病はそのあと12条まであり、状態に合わせた漢方薬も記載されています。

 

産後病に記載されている処方は、産後の方だけではなく、身体が虚している方、血やエネルギーが足りない方にも用いることができますし、原理が合えば、男性にも応用されることがあります。

 

時代は移り変わっても、漢方的視点に立つと、人の身体、体調を崩してしまうときの原理は変わらないのですね。

 

 

さいごに

 

妊娠ができるまで、妊娠が分かってから予定日まで、大切に育む命。

 

私たちも微力ながらお手伝いをさせていただいて幸せを分けていただいています。　

 

今回も最後までお読みいただいてありがとうございました。