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日常コラム

おじいさんの白髪?翁草(オキナグサ)と白頭翁(ハクトウオウ)

日常コラム

 

寒の戻りで縮こまっていた草花も、ここにきて咲き始めました。

我が家のベランダのオキナグサ(翁草)も少しずつ変化をみせています。

 

今回は、オキナグサについて。

 

花の構造も面白いオキナグサ

 

キンポウゲ科のオキナグサ。

花の部分がどんどん変化していって不思議で面白い。

 

赤いお花が可愛い、と思ったら、赤いのは花びらではなくて萼(ガク)片だそうです。

黄色い部分が雄しべの葯(花粉がついている部分)です。

 

 

 

2024.2.27 千葉県

 

真ん中に茶色にみえているのは、たくさんある雌しべの束(!?)の先端です。

え? 普通、お花は真ん中に一本、雌しべがあって、その周りを雄しべが囲んでいて…というのを想像しますが、これは雌しべの束?

 

もっと季節が進むと下の写真のような姿になります。
下の写真は以前、植物園で撮ったものです。

 

2014.5.28 福島県御薬園

 

あのお花のような姿から、どうしてこんなにシュシュっとした姿になるのか、とても不思議でなりません。

 

ということで、自宅ベランダのオキナグサで変化を追ってみることにしました❣

 

 

キラキラした白髪へ?

 

 

2024.3.31 

 

上の写真は、本日の様子です。この写真をみると、少し変化がわかりそうです。

 

右下のボケて映っているこは、まだガクも雄しべもしっかりついています。 

↓ 

左下のは、黄色い雄しべが下へ落ちて、茶色のポチっとして見えた部分の下が雌しべの束だったことがわかります。

そして、その後、左上のように、赤いガクも落ちはじめ、束になっていた雌しべが伸びてばらけ始めました。

 

↓ガクもさらに落ちてきました。

 

2024.3.31 

 

 

雌しべは、じきに果実になれる部分。オキナグサの場合は、痩果(そうか)といって、ひょろっとした形の果実になります。毛のような果実って不思議です。

 

でも、痩果というと、タンポポと同じです。タンポポも綿毛になってふわふわ飛んでいきますが、オキナグサもそのタイプらしい、と思えば少々納得します。 

 

確かに、タンポポとかヒマワリも頭状花と舌状花の集合体だったりして、その一個一個がお花ですものね。このオキナグサのシュッとした毛一つ一つの雌しべが果実となって、種ができるということかな。

 

 

 

オキナグサの根茎~白頭翁の効能~

 

ちなみに、翁草(オキナグサ)という和名は、白い果実がおじいさんの白髪に譬えられたことが由来のようです。 

 

オキナグサの根茎を干したものは、生薬では白頭翁(はくとうおう)といいます。生薬名も、白髪頭のおじいさん、という意味ですね。

 

古典において、白頭翁は、熱利下重に用いると記載されています。熱利下重とは、内熱による下痢のこと。
 

あるいは、下腹が猛烈に痛み、あるいは血便を下し、あるいは身体の上部に熱があって水を欲しがり手足は却って冷えて、小便の色が赤い者などに用いるとあります(参考:「新古方薬嚢」荒木性次著)。

 

また、白頭翁を黄連・黄柏などと配合して白頭翁湯として、下痢、膿血便、腹痛、裏急後重などの症状に用いられたと古典に記載されており、やはり熱性の下痢に用いることが分かります。

 

現代的には、ハクトウオウの茎や葉は食薬区分で専ら医薬品の分類に入っていますが、現在はあまり使われてはいないと思います。

 

また、オキナグサ自体は、有毒植物で民間で葉や根の搾り汁をタムシ、シラクモに外用できるといわれていますが、場合によっては皮膚炎を起こし、飲食で胃腸炎を起こすほど激しい作用があるので、一般での使用は避けた方が無難とのことです(参考:「牧野和漢薬草大図鑑」(北隆館)) 

 

ここまでご紹介したようにオキナグサには、様々な側面があります。オキナグサは触ったり飲用したりせず、沿革を認識しながら鑑賞するのが良さそうです✨

 

可愛いオキナグサと春の光

 

春の光の中に光る白い果実がキラキラして美しいオキナグサ。

 

そんなオキナグサは、5年くらいで枯らしてしまうことが多いとのことです。

うーん、この鉢がうちに来たのが2年前…。

 

こうやってじっとファインダーを覗いて愛でていられるのも貴重な時間かもしれません。 

 

暖かい日差しの中、しばらくは目の前の可愛く面白いオキナグサを楽しみたいと思います✨ 

 

 

 
 
 
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【この記事の著者】若草漢方薬局 店主 吉田淳子 
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